ありのみ便り 令和5年1月15日号
更新日:2023年1月17日
澁谷家住宅と保存資料
鎌ケ谷市中佐津間で江戸時代から続く旧家、澁谷家に保存されてきた資料約2万4400点が昨夏、市に寄贈されました。
資料は江戸時代から平成までの文書、写真、印刷物などで、市内では最大規模の資料群です。高度経済成長期の開発で散逸しがちだった歴史・民俗資料がこれだけ大量に残ったのは稀有なことです。
澁谷家は佐津間村の名主を代々務めた家柄で、幕末の志士、赤報隊の澁谷総司の生家でもあります。資料は市史を知るうえで貴重なものばかりですが、特に江戸時代の資料は興味深いものが多いようです。近代以降の戸籍にあたる宗門人別帳、現在の市勢要覧にあたる村明細帳、佐津間村を支配した田中藩とのやり取りを示す文書などからは当時の村の様子がよくわかります。また、幕府直轄の牧場「小金牧」で将軍の鹿狩りが行われた際の絵図や差配書もあります。
明治以降では、澁谷総司の復権に向けて親族が奔走した様子がわかる資料が目を引きます。澁谷家の次男に生まれた総司は江戸へ出て倒幕運動に身を投じ、新政府の赤報隊に加わり京都から江戸へ向かう途中、下諏訪(現在の長野県)で「偽官軍(にせかんぐん)」の汚名を着せられ22歳の若さで処刑されました。
理由は実現不可能な年貢半減の布告の責任を取らされたなど諸説あるようですが、昭和3年に名誉が回復されました。資料からはこの間、総司の親族が一緒に処刑された赤報隊隊長の親族と協力して名誉回復を願い出たり、下諏訪の有力者に協力を求めたりして粘り強く復権に向け尽力した様子が読み取れます。
これらの資料は今後、郷土資料館で展示される予定です。
澁谷家については、令和2年8月に住宅(主屋、米蔵、門)が地域の旧家にふさわしい姿を今に残しているとして国の登録有形文化財に登録されました。主屋は江戸時代の文政9年(1826年)に建てられたとされる市内で最も古い住宅です。市では昨年、澁谷家住宅と敷地を購入しました。今後、数年かけて改修などを行い、いずれは公開する予定です。
郷土の原風景を思い起こさせる住宅と、そこで生活した人々の息吹を感じさせる資料がセットで市の資産となりました。地域の誇りとして市全体で大切に保存していきたいものです。
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