かまがや取材日記 一本松遺跡 令和4年8月10日
更新日:2022年8月16日
縄文時代と古墳時代の遺跡
土器や写真の展示物
鎌ケ谷市郷土資料館で開催中の第25回ミニ展示「一本松遺跡展」を見てきました。5年前に現地説明会が開かれた際、筆者も参加したので興味を惹かれました。
一本松遺跡は市内中沢地区の台地にある縄文時代後期(約4000年前)と古墳時代(約1700年前)の複合遺跡です。同遺跡では昭和55年度から平成28年度にかけて4次にわたる発掘調査が行われました。今回の展示では、約6000平方メートルを対象に実施された第4次調査で出土した土器や、判明した住居跡の写真やパネルなどが並べられています。
4次調査では、縄文時代の住居跡12軒、古墳時代の住居跡6軒のほか、各時代の深鉢や甕、土偶、貝殻などが多数出土しました。中でも特徴的なのが縄文時代の住居跡です。12軒のうち3軒が円形に柄(え)のような張り出し部分がある柄鏡形住居でした。柄の部分は出入り口と思われます。珍しい形で神奈川県や東京都西部など西関東でも見られる住居です。
また、頭部が失われてしまい胴部だけの筒形土偶も見つかりました。筒形土偶も横浜市などで出土していますので、一本松遺跡の縄文人は西関東の縄文人たちと交流があったのかもしれませんね。
柄鏡形住居跡からは地中に埋められた深鉢も出土したとの説明が目を引きました。中身は見つからなかったのですが、空の深鉢を住居の地中に意味もなく埋めるとは考えづらいので、何かを入れたが長い時間がたち確認できなくなってしまったのかもしれません。こうした状況を埋甕といい、儀礼的な行為だったとも考えられているようです。
一方、古墳時代の住居跡は四角形です。いずれも竪穴式住居ですが、縄文時代の住居跡はすべて円形ですので、古墳時代の人はなぜ形を変えたのでしょうか。展示品を見ながら当時の人たちの思いをあれこれ想像するのは楽しいものです。
一本松遺跡の現地は梨畑となるため、埋め戻されています。郷土資料館に出かけ、太古の人々の息吹を感じてみてください。一本松遺跡展は9月25日まで開催しています。
梨畑に囲まれた一本松遺跡
独特な形の柄鏡形住居跡
頭部が失われた筒形土偶
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