ありのみ便り 令和2年5月15日号
更新日:2020年5月20日
『ペスト』と新型コロナ
今、ある本が注目され売れ行きを伸ばしています。フランスのノーベル文学賞作家アルベール・カミュの小説『ペスト』です。
『ペスト』は、フランス領アルジェリアの感染症ペストに襲われた港町を舞台に、ペスト菌の脅威に立ち向かった民衆を描いた作品です。1947年に発表され、不条理文学の金字塔と評価されています。
カミュの代表作『異邦人』に勝るとも劣らない名作ですので、読み継がれているのは当然なのですが、今年1月下旬から本の売れ行きが急に伸びてきたそうです。理由は新型コロナウイルスの感染拡大です。
中国で初めて感染が確認された新型コロナウイルスは、あっという間に世界中に蔓延しました。国内でも多くの人が感染し、鎌ケ谷市でも感染が確認されました。感染拡大の影響で東京オリンピック・パラリンピックは1年延期され、4月に出された緊急事態宣言は、ゴールデンウイークまでだった期限が延長されました。休校、休業、在宅勤務、催しの中止、外出自粛など社会全体が活動を抑制せざるを得ない状況に追い込まれています。未曽有の事態です。
まだ新型コロナウイルスのワクチンと特効薬はなく、感染の収束時期は見通せません。長期戦も覚悟しなければならないでしょう。先が見通せない閉塞感、感染への不安など、カミュが『ペスト』の中に描いた世界と重なって見えます。だから多くの人が何かを読み取ろうと『ペスト』のページを繰っているのでしょう。
『ペスト』では、封鎖された港町で次々と人が発病し亡くなっていきます。そんな極限状態の中でも、医師とその友人らは「誠実さ」と「自分の職務を果たすこと」を支えに懸命な闘いを続けます。そして、やがてペストは沈静化していきます。
新型コロナウイルスとの闘いの渦中にいる私たちも「自分のすべきことを誠実に行う」ことが大切です。まずは感染を拡大させないため、密閉・密集・密接の「3密」を避けること。それが自分を守り、周りの人を守り、社会を守ることになります。
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