第3回 昭和の小学生の夏休み
更新日:2021年12月13日
今回紹介するのは、昭和28年(1953年)頃に使用された『夏休みの学習』という冊子です。当時、鎌ケ谷に住んでいた小学校5年生の女の子が使用していたものと推測されます。その女の子を仮にハナコちゃんとして紹介しましょう。
冊子『夏休みの学習』
冊子を開くと、ハナコちゃんが立てた夏休み期間中の生活と学習の予定表があります。予定表は8月14日から31日までのもので、当時の小学生の夏休みがどのようなものであったのかということを窺い知ることができます。
予定表
上段の「生活の予定」を見ると、ほぼ毎日ハナコちゃんは家庭内で何らかの手伝いを計画していたことがわかります。最低でも2つ、多いときで4つも手伝いの計画を立てています! 一番多いのは「子守り」(14回)、次に多いのが「火もし」(7回)と「ぞうきんがけ」(7回)です。このうち、現在では聞きなれない「火もし」は「薪燃やし」ともいいます。お風呂のお湯を沸かすにも、料理をするにも「火」を準備する必要があった時代、「火もし」は子供の主要なお手伝いの一つでした。
また、下段の「学習の予定」を見ると、日記や国語、算数などが書かれています。中には「こうさく(工作)」という記載も! 夏休みの課題で工作をするのは今も昔も同じだということがわかります。
予定表を見ていくと、お手伝いが1日に最低2つ、学習の予定も必ず1つは入っていて、いったいいつハナコちゃんは遊んだのだろうか、という疑問がわいてきます。
この疑問に答えてくれるのが、同じ冊子の中にある1日の生活スケジュールを記した円グラフです。
生活スケジュール「私の一日のくらし」
これはハナコちゃんが立てた夏休み期間中の一日の生活スケジュールです。もちろん、実際にこの通りのスケジュールで生活していたかは分かりませんが、当時どのように過ごしたかということをある程度推測することはできます。
ハナコちゃんの1日の生活スケジュールを見ると、なんと午前5時半に起きて、午後7時半には寝ていることがわかります。現在の小学校5年生の平均的な起床時間は午前7時頃、就寝時間は午後10時頃ですから、現在とは生活習慣が大きく違っているということがわかります。また、毎日午前9時半から午前11時半までと午前3時頃から午後4時半までの3時間半程度を「手伝い」をする時間にあてています。対して「勉強」の時間は午後0時半から午後3時頃までの2時間半程度で、勉強よりも手伝いが重要視されていたことがわかります。また、「あそぶ」時間は午前7時半から午前9時半までと午後6時半から午後7時半までの3時間程度で、ハナコちゃんは手伝いに最も時間を割いていたことがわかります。
現在のように便利な家電も道具もなかった時代、子どもたちは家庭や家業において補助的な労働力として活躍することが求められていました。この冊子からは、夏休み期間中にそのような労働力として、お手伝いで活躍した子どもの一側面を見ることができます。
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