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第32回 史料整理の現場から(12)明治40年代の「年賀郵便特別取扱」 案内ポスター

更新日:2024年10月30日

今回は郵便局に関係する史料の紹介をします。鎌ケ谷大新田地区で郵便局務を担っていた徳田家には、明治期の郵便局関係史料が数多く残されており、これまで再整理作業を進めてきた中で、すでに別々の史料として目録に掲載されていたものが実は合体すると1枚のポスターであることが分かった事例がありました。
「御便利なる 年賀状郵便特別あつかひ」「来る十五日より二十九日までにお出し下さい 四十五年一月一日早朝から配達いたします」といった案内文句がイラスト付で記されています。
年始状の始まりは平安時代にさかのぼるとも言われていますが、手段としては手紙が使われていました。明治6年(1873年)に郵便葉書が発行されたことで、より簡便に気持ちを伝える方法として葉書が広く利用される様になります。
年始の挨拶状としても葉書は多用され、年末年始に葉書の投函が殺到したことから、明治32年には12月20日から30日を取扱期間とし、指定郵便局へ一定枚数持ち込まれた年賀状は、翌年1月1日の消印を押して配達局へ送り、元旦の最先便から配達する「特別取扱」が開始されます。この制度は同39年に「年賀状特別郵便規則」として法整備され、取扱期間は12月15日から29日になり、翌年には枚数制限も撤廃され、ポストへの投函も可能となりました。

年賀郵便取扱いポスター
年賀郵便取扱いポスター(明治44年(1911年))

ポスターを見てみましょう。学生帽を被った男性と、着物にコートを羽織り、おかっぱの黒髪にリボンを付けた女児が葉書の束を持って歩いています。兄妹で年賀状を出しに行く途中でしょうか。「四十五年一月一日早朝から配達いたします」という文言から明治44年12月頃に貼られたポスターだったことが分かります。発行元の記載はなく、郵政事業を管轄した逓信(ていしん)省発行のポスターとも考えられますが、右下に描かれている年賀葉書の束に記されている住所に「千葉県」の文字が見えることから、もしかしたら発行元は千葉県だったのかもしれません。現在であれば、自治体名だけ差し替えた全国共通のポスターを製作することもありますが、明治時代にはまだその様な印刷技術があったかどうかはわかりません。そのような想像を巡らせることも、史料整理の面白さといえるでしょう。
大きさは2枚合わせて54×39センチメートルで、B3とA2の間という変形サイズです。それなりの大きさで、郵便局内に貼られていたと考えられます。紙も厚めでしっかりしていますが、年代が入った期間限定のポスターのため、使用後は半分に裁断され、郵便局の書類などの包紙として再利用されていたことから、整理の当初は1枚のポスターとして認識されていませんでした。
ここ数年、葉書に代わるメール年賀状やSNSでの発信など、年賀状離れが加速しています。年賀状の発行枚数はピーク時の2003年の発行枚数約44億6千万枚から、2024年の発行枚数は10億7千万枚が予定されるなどかなり減ってきており、郵便料金の値上げもあってますますその傾向は強くなると思われます。
しかし、そうはいっても11月から年末にかけて、何かと年賀状の話題が出てくることでしょう。
ポスターを見ていて、年賀状を書きながら相手の顔を思い浮かべる時間や、元旦、自宅ポストに配達された年賀状の束を取りに行く時のワクワク感などを思い出しました。
今年の暮れには、社交辞令ではない年賀状を書いてみてはいかがでしょうか。

(注釈)本記事は、『鎌ケ谷市郷土資料館だより』64号(令和5年9月15日発行)に掲載した「史料整理の現場から」14の内容を再編集したものです。

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